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[登山] 白山・別山日帰り縦走登山(後編) [登山]

 前回の続きで、「白山・別山日帰り縦走登山」の後編となります。 今回は、白山室堂(むろどう)から南竜ヶ馬場(みなみりょうがばんば)を経由して『別山(べっさん)』までの往復と、下山までを掲載しています。

前編はこちらから →  [登山] 白山・別山日帰り縦走登山(前編)

別山手前から縦走路と白山を望む

 「白山室堂」から「南竜ヶ馬場」へは、「トンビ岩コース」と呼ばれる登山道で向かいますが、雪で標識が埋れているのか良く分かりません。 地図で確認しながら進みましたが、雪で覆われて目印になるものがまったくありません。(テープなども白山には少ないです。 環境配慮のためでしょう。)
 南竜ヶ馬場は、室堂から350mほど下にあるため雪渓の谷間を降りて行きますが、次第に右(西)の谷(『万才谷』)へと向かってしまい、気がつくと登山道から150mほど西に離れた場所へと来ていました。
 地図では、このまま行くと急峻な斜面(崖とも言う)となるのが予想できました。 ここから登り返すのも面倒なため、登山道へ向かって藪の中に突入しました。

 しかし、これが間違で並の藪ではありませんでした。 松の倒木や笹、それと種類は分かりませんが低木の枝などが邪魔をして思うように横断出来ません。 時には木上に乗りながら向かう方向を確認して、何とか通過することが出来ましたが、大幅に体力を消耗して『別山』へと辿りつけるか不安になりました。(横断距離:450m,時間:35分)
 また、この時には気がつきませんでしたが、膝をあちこちでぶつけて青あざが出来ていました。(カスリ傷は何時ものことですが)

 本来の登山道(といっても雪の下で分かりません)へ復帰すると、雪の斜面が南竜ヶ馬場の施設まで続いており一安心です。 その雪渓を滑るようにして降って行くと、すぐに南竜小屋へと到着しました。 ここから先は、以前も通った事のある道なので、迷うこと無く油坂へと向かいました。(下写真)

南竜小屋(左端の尾根上から雪渓を降りた)

 この先『別山』まで行くとなると、帰りに多めに見積もって別山から南竜ヶ馬場まで2時間、室堂まで2時間、登山口まで2時間の計6時間掛かると予想して、この時期の薄明は19時半ぐらいと仮定すると、限界時刻は13時頃になります。 そんな事を考えながら、雪に埋もれた湿原を南へ向かって行くと、油坂手前の谷間に到着しました。(下写真)

油坂(中央奥の雪渓を登る)

 ここは去年通った時には雪解けが進んでおり、登山道脇には水場が露出していましたが、この時はまだ雪の下でした。 油坂は下の方が夏道が露出しておりそこから登り始めますが、直ぐに雪渓の急斜面となりました。(下写真)

リュウキンカ(油坂で撮影)

油坂を登る

 ここまでの道はツボ足で何とかこられましたが、気温が上昇した急斜面では流石にアイゼンが必要となるため、ここからは12本歯アイゼンを履いていきまし た。(ピッケルは、その前から装備)
 斜面には、逆方向から歩いてきたひとり分の足跡が残っていたので、この先の交通は保証されており一安心です。 思ったよりも快適に斜面を登っていくと、白山が再度その姿を表しました。(下写真)

油坂上部から白山を望む

 油坂の頭へ到着すると、後は比較的緩やかな登りを進むことになります。(登り返しは多いです) ここからも以前通っているのと、思ったよりも残雪が少なく夏道を歩けるため、快適に進んで行けました。(途中で登山者とすれ違いました) しかし、藪漕ぎと油坂の急登の疲れが次第に出てきたため、予定通りですが途中で昼休憩としました。
 眺めの良い登山道脇で、いつもの様にラーメンとおにぎりを食べますが、疲れのため喉を通りません。 しかし、この後でバテるので無理やり水で流し込みました。(苦笑)

大屏風から西を望む

大屏風の縦走路(この坂途中で休憩)

 食事後は、時間も限られているため直ぐに出発しました。 上写真のピークを過ぎると、次第に別山手前の『御舎利山』と『別山』が大きく見えてきました。(下写真)

御舎利山(右奥)

別山(左奥)と御舎利山(右)

 『御舎利山』へは、夏道はトラバースしていますが、雪渓で埋れているため尾根を直登していきます。(帰りに分かったのですが、この道は通行禁止でした)

御舎利山から白山と縦走路を望む

 ここまで登れば、後は、平坦な道をハイマツの間を縫って『別山』まで進むだけです。 途中で「岩室」と呼ばれる古い石組みの避難所を過ぎると、『別山』へと到着しました。(下写真)

岩室

別山頂上

『別山』は独立峰となっているので、360度の展望が開けています。(下写真)

三ノ峰方面

別山平(休む登山者などが見えます)

銚子ヶ峰方面

チブリ尾根方面

白山アップ(手前は『御舎利山』)

 『御舎利山』に一人(上の写真に写っています)と、『別山』には二人の登山者がいました。 また、別山平にも登り終えた登山者が数名いるようです。(この方たちは三ノ峰からの登山者だと思います)

 ポカポカと暖かな日差しの中、頂上の草地に寝転んで休憩をしてから下山を開始します。 しかし、ここからも先は長いため息は抜けません。 尾根道を花を見ながら戻っていき、行きはアイゼンで登った油坂も、無しで滑るように降りて行きます。(下写真)

キバナノコマノツメ

バイカオウレン

 油坂の下には、行きには水場がないと思っていたのですが、雪渓の下を大量の水が流れているのが見えました。 そろそろ水の補給も必要なので、ここで喉を潤いつつ補給をしていく事にしました。
 ここから雪渓を少し登り南竜ヶ馬場へと到着した所で、トイレ休憩のために避難小屋へ寄っていきました。 南竜ヶ馬場から室堂までの登りは、下山路の分岐に近い「展望歩道コース」を利用することにしました。 右(東)へと向かうと標識と木道があるのでそこを進んで行きますが、すぐに雪渓に埋もれてしまい滑りやすいので、アイゼンを履いて歩いていくことになりました。(下写真)

展望歩道への雪渓から振り返る

 ここも道標が埋もれてどこへ行くのか良く分かりませんでしたが、地図を見ながら谷間を詰めていきます。 谷の上部まで登ると、雪渓から尾根に乗る登山道が覗いた場所へと到着しました。(下写真)

右側に登山道が見える

少し戻る形になりますが、登山道を登っていくと尾根に乗ります。 ここからは、雪は無く夏道を進んで行きました。(下写真)

展望歩道を行く

 流石にここまでの登山で疲れが出てきており、このコースの標準タイムより少し早い程度で上部へと登っていきます。 途中で「アルプス展望台」と呼ばれる展望を通過して、上部の雪渓へと最後の急登をいきました。(下写真)

向かう大倉尾根を望む(アルプスは見えません)

ヤマガラシ

 上部の雪渓は急な斜面となっていたので、再々度アイゼンを装着して登っていきました。(この時は12本歯で良かったと思いました)

展望歩道上部の雪渓(左下から取り付く)

ここが最後の難関でしたが、しばらく登るとハイマツ帯に突入して室堂平へと到着しました。(下写真)

室堂平のハイマツ帯

 この付近でガスが出て来て、その中で10人以上のパーティとすれ違いました。(トンビ岩コースを下っていったようです) しかし、ここまで来れば後は降るだけです。 大倉山へと向かって朝来た道を戻りますが、夕方近くですっかり雪が緩んでいたため滑りやすくなり、慎重に降りて行きました。(アイゼンは脱いでいますが、付けた方が良かったかも)
 45分ほどで大倉山避難小屋に到着しましたが、この時点で疲労困憊で疲れがピークとなっていました。 その先の見晴らしの良いところで、休憩を取りつつチョコレートを食べて一時的に体力を回復させます。
 その御陰か、この先は順調に降りて行き、当初予定していた通り2時間ほどで無事に登山口へ到着しました。

 何時もであればこれで終りなのですが、 今回はこの後で白山公園線を車で走っていると、左の崖に黒いものがあるなと思った所、突然それが車の前に降りてきて危うくブツかる所でした。 はじめは熊かと思ったのですが、大きなカモシカでした。 急ブレーキを踏んですんでのところ回避しましたが(50cmほど?)、最後まで気が抜けない登山となりました。(カモシカは、そのまま車の前を走って逃げていきました。自殺願望でもあるのかなと・・・)

今回の反省点は、
 ・無理やり藪に突っ込んだため、もう少し状況を考えた方がよかったと感じます。(中々難しいですが…)

次回は、案の定梅雨入りしたため、土日とも50%以上の降水確率の場合は休みにします。(疲れてますし)


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シラネアオイ

こんばんは!お疲れ様でした。登山の辛さと心地よさは少々
解る気がします。(大雪やアポイの山歩きをしたせいか) ?
NICE! コメントありがとうございます。
by シラネアオイ (2010-06-14 18:48) 

g_g

何回見ても素晴らしい展望ですね
残雪時は夏道が分からなくなり迷いやすいですね
私も去年間違えて一時間以上ロスしたことで体力を
消耗した覚えが、(滅多に残雪の上を歩かないので)
by g_g (2010-06-14 19:57) 

おど

シラネアオイさん、コメントありがとうございます。
 登山の素敵なところは、登る人にしか分からないかも知れませんね。 最低行程の半分は、登りのきつい道を歩くのですから。

by おど (2010-06-14 19:58) 

おど

g_gさん、コメントありがとうございます。
 今期の雪歩きで、あらかたの雪道の登り降りは習得できたと思います。(そんな大げさなことではありませんが 笑)
 今回は道迷いと言うよりも、道消失ですね。 雪道の場合は自由が利く分、先を見越したルートファインディングが重要だと感じました。

by おど (2010-06-14 20:01) 

KOMKOM

やっぱり12本アイゼンとピッケル要りそうですね
最後の斜面は無いと危険ですね。私もどこかで雪道を歩く講習でも
受けて見たいなと思います。
そうすればもっとフィールドが広がるんでしょうね。
by KOMKOM (2010-06-14 21:37) 

おど

KOMKOMさん、コメントありがとうございます。
 前編のコメントと重複しますが、傾斜の度合いと滑落後の場所しだいですね。 去年、乗鞍岳に登った時は、急なトラバースで滑っても下は安全でしたから、途中までツボ足で行きましたし、頂上付近でも軽アイゼンで何とかなりました。(この頃は軽アイゼンしか持っていませんし)
 雪道は、段階を踏んで行けばすぐに危険かどうかの判断が出来るようになると思いますよ。

by おど (2010-06-14 22:20) 

tochimochi

結局日帰りだったんですね。お疲れ様です。
潅木帯のヤブコギは疲れますよね。私も沢登りではしょっちゅうでした。雪山のトラバースは緊張しますが、滑って降りられるのはいいですね。
by tochimochi (2010-06-14 23:06) 

おど

tochimochiさん、コメントありがとうございます。
 翌日の天気がよくなさそうなので、日帰りでした。 今回の藪は、ヤブコギと言うか、木の上に乗りながら渡り歩いていましたよ。 さらに陥没した場所も沢山あって、上下方向に行ったり来たりで腕が疲れました。
 雪道はこの季節なので、よほど安心して歩いていけますね。

by おど (2010-06-15 12:36) 

SammyTajima

この時期の白山は登ったことはありません。藪コギをする体力にも自信がない?  でも、雪渓の残る白山は最高の気分ですね。 
by SammyTajima (2010-06-15 19:13) 

たそがれ高洋

とても思いつかないようなとんでもないコースなんですが、おどさんのレポではなんとかなるものなんですね。前半の大倉尾根から室堂、調子がよくても、どこかで息切れします。そしてその疲れが後々じわっときます。それなのにおどさんは、別山往復を入れる。雪道でコースも不安定。このコースは決して真似をしないようにします。ちなみに、別山への足跡は、前の週のスカイウォーカーさんだと思います。彼も同じコースですが、南竜で泊しています。  お気をつけて。
by たそがれ高洋 (2010-06-15 21:09) 

おど

SammyTajimaさん、コメントありがとうございます。
 自分は、夏場の白山に登った事が無いので、一度花園の室堂や南竜ヶ馬場を見に登ってみたいですね。 白山で藪漕ぎは普通しませんね。

by おど (2010-06-15 22:57) 

おど

たそがれ高洋さん、ご来訪とコメントありがとうございます。
 今までの日帰りの最長距離が35Km弱だったと思うので、今回の登山が自分の限界だと思います。(24時間歩く方もいますが、危ないのでとても真似できません。 無謀な登山はしたくないです・・・。) 今回も、最後の方は息切れと言うより呼吸困難な状態になりましたね。 明らかにエネルギー不足でバテてしまいました。
 別山からの雪の上の足跡ですが、この時期は朝の足跡は午後には消えてしまうので、一週間前の足跡は跡形もありません。(だからこそ、迷い易いのですが・・・)

by おど (2010-06-15 23:14) 

joyclimb

残雪期の白山の景色を堪能させていただきました!
御舎利山から白山までの縦走路、見ていると歩きたくなりました。
by joyclimb (2010-06-15 23:27) 

おど

joyclimbさん、コメントありがとうございます。
 残雪期と言ってももう終わりですね。 もう少し早い時期(4月頃?)に行けば、もっと真っ白な白山が見られるので、来年は挑戦してみようかと考えています。
 『御舎利山』から『白山』と言わずに、石徹白から 『銚子ヶ峰』→『一ノ峰』→『二ノ峰』→『三ノ峰』(避難小屋泊)→『別山』→『御舎利山』→『油坂の頭』→南竜ヶ馬場→トンビ岩コース→室堂(泊まり)→『御前峰』→『大汝峰』→『七倉山』→『白山釈迦岳』→一ノ瀬 のコースをお薦めしますよ。(二泊三日)

by おど (2010-06-15 23:40) 

ひろたん

懐かしく写真をみせていただきました
残雪いい感じですね
テント泊したことが
この景観で思い出し、この前のような錯覚を
起こしそうです^^

七倉山の縦走をしよ
なんて会話したことがあるのですが
実現できていません
また行けるかなと楽しみにしています

痩せた尾根も
また雪があると違いますよね
4月の縦走
いいかもしれませんね
雪が多いとまた景観が違い
雪・雪ですよね

次はこんなふうに
この感じが。この考えが大好きです
挑戦してくださいね
またみせてくださいね^^
by ひろたん (2010-06-16 13:14) 

おど

ひろたんさん、長文のコメントありがとうございます。
 この時期は気軽に残雪の山に入れるので良いですね。(過信は禁物ですが) 別山までの尾根は、歩いていても気持ちよいので好きですね。(いい具合に風も吹いてきますし、涼しかったですよ。)
 夏にまた行くと思うので、その時には又写真を掲載しますね。

by おど (2010-06-16 18:22) 

Jetstream777

お疲れ様!
大変なパワーですね、パワーを分けてください(^_^)v
まだ残雪もあり、白山の眺めがいいですね。
記事も、よく詳細にかかれ、臨場感があります。 
by Jetstream777 (2010-06-16 20:10) 

おど

Jetstream777さん、コメントありがとうございます。
 パワーはありませんが、精神力はあります。(笑) 疲れても進む気力があれば、なんとかなりますよ。 この調子で梅雨明けには、去年行けなかった槍ヶ岳の日帰りなど、北アルプス中心に登ってみたいと思っています。

by おど (2010-06-16 22:34) 

山子路爺

こんばんは。
ヘナチョコ爺には前後半ではなく、1日目2日目ですネ。
藪を漕いだようですが、これも体力大消耗ですネ。
一泊で予定を組んでみたくなりました。
by 山子路爺 (2010-06-17 01:16) 

おど

山子路爺さん、コメントありがとうございます。
 いやいや、ヘナチョコなんて御謙遜ですね。 今回のコースは、流石に一泊が普通ですよ。 これからの季節は、一泊して朝日夕日を眺めて、花も一杯見ていくのが本来の楽しみ方ですよ。

by おど (2010-06-17 21:16) 

旅爺さん

見ていると気持ちだけは若いので行きたくなります。
リュウキンカはかなり下の方でしょう?。
お疲れ様でした。

by 旅爺さん (2010-06-18 19:28) 

おど

旅爺さん、コメントありがとうございます。
 油坂の登り口は赤谷になります。 その赤谷からの登山道脇にリュウキンカが沢山自生していました。
 湿原など湿気を好むようなので、雪解け水などが湿地の代わりになっているのでしょうね。

by おど (2010-06-18 21:30) 

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